第28章 たとえ彼女が中野航平の金を使っていようと、それは当然の権利よ!

中尾美希の鼻につく自慢に、長谷川栞は取り合う気にもならなかった。横にいた店員へ視線だけ向ける。

「最新のカラー、ダーク系を全部持ってきて」

中尾美希の笑みが、ぴくりと固まる。疑うように栞を見た。

――長谷川栞が、中野蓮のことを本当にもう気にしていない? そんなはずがない。

美希はわざと左手を見せつけるように差し出し、絆創膏の貼られた指先を揺らして、甘ったるく笑った。

「栞さん、ずいぶん戻ってこないから、蓮が偏食になっちゃって。栞さんが置いていったレシピのプリント、使用人がそのまま真似して作っても全然食べないんですよ。私が仕事終わりに行って作らないと食べなくて。航平さんも――」

「...

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